インタビュー花咲くいろは

花咲くいろはスペシャルインタビュー第21回

――小見川さんが演じられている鶴来民子ですが、小見川さんから見てどんな女の子でしょうか?

小見川:
ひと言で言えば“不器用な子”ですね。私も不器用な部分があるのでとても共感できるんですけれども(笑)。また彼女は、あまり自分を出さない性格なので損していることも多いと思います。でも芯はしっかりしていて、誤解されてもいいから自分の意思は貫こうという強い気持ちも持っている。見ていて危うくもあるけれども一途なところは、とてもいじらしくもあり、尊敬する部分ですね。そこが彼女の魅力なんだと思います。

――民子と言えば「死ね」や「ホビロン」というセリフが印象的です。

小見川:
そうですね。最初の頃は「死ね」と「スミマセン」しか言っていなかったので、民子の情報が少なかったんです。でもアフレコする度に新しい一面が見えてきて、だんだん民子のことが分かってきました。
「死ね」という言葉はそのままの意味ではなくて、彼女自身がとても口下手なので、モヤモヤとした感情をうまく表現できない。だから「死ね」と言ってしまうと私は解釈しています。それが「ホビロン」となったとき、なんて可愛いんだろうって思いました。言葉の響きもそうですけれども、緒花に「死ね」って言うのをやめようよと言われたから一生懸命考えるところが素直で可愛いなって。緒花に対しての歩み寄りですよね。これは私の想像ですけれども、10年後に「ホビロン」と書かれたノートを見たら、民子は恥ずかしくて身悶えると思うんですよ(笑)。

――これまでアフレコをされていて、印象に残っているシーンやセリフはどこでしょうか?

小見川:
ちょうど次回(第11話)になるので、ネタバレになってしまうのですが……。緒花の名前を呼ぶシーンですね。それまで緒花のことは「アンタ」とか「お前」と呼んでいたのですが、初めて名前で呼んだんです。かな恵さん(緒花役・伊藤かな恵)と「名前呼んでますよ!!」って盛り上がって。実際に呼んだときに、口馴染みがなかったのでちょっと違和感がありましたけれど(笑)。
あとは、もう少し後の話数になるのですが、ストーリーの本筋から少し離れていますが、緒花、菜子と一緒に楽しそうに笑うシーンが少しだけあるんです。それを見たとき、「ここまで来るのに時間がかかったけれど、楽しそうで良かったね」と少しジーンときました。

――『花咲くいろは』は仕事がひとつのテーマですが、小見川さんが小さい頃になりたかった職業は何でしょうか?

小見川:
幼稚園の頃は漠然とイルカの調教師に憧れていました。祖母によく水族館に連れて行ってもらったというのと、姉がすごくイルカが好きだったんです。私かなりのお姉ちゃん子で、「イルカの調教師になればお姉ちゃんが喜んでくれる!」と思っていたんですよ(笑)。

――今までアルバイトなどの経験はありますか?

小見川:
私、かなりのアルバイターでファーストフード店、コンビニ、居酒屋、いろいろやりました。あとテパ地下などの販売で、カルピスお姉さんにもなったことがあるんですよ。子供たちと一緒にカルピスを作るんですが、面白かったですね。「これは魔法のマドラー。これでカルピスをまぜると美味しくなるんだよ! まずはお姉さんがまぜてみるね」って(笑)。
あとは2年ぐらい前までバレエを習っていたので、バレエの発表会で劇場アナウンスもしていました。あとバレエ以外にも、ジャズやヒップホップなどダンスもいろいろ習っていたんですよ。こう見えて運動神経はいいほうだと思います。

――作品の舞台となる温泉地と言えば、リフレッシュを想像される方も多いですが、小見川さんの気分転換方法はなんでしょうか?

小見川:
う~ん……私、気分転換が下手なのでとりあえず寝ます。寝ていろいろ忘れる(笑)。それとペットと遊ぶことですね。今、モコという名前のうさぎを飼っているんですけれども、本当に可愛くて癒されます。モコのためにハーブを育てたりしているんですよ。
あとは鎌倉に行くことかな。蓮やスイレンが好きなので、夏なると鶴岡八幡宮やその周辺によく行きます。好きな喫茶店もあって、鎌倉にいったら立ち寄るようにしているんです。そこのお店はスコーンがとても美味しいのですが、初めて行ったとき、あまりのスコーンの美味しさに感激しながら食べていたら、お店のおじさんがジャムを追加してくれて、さらにもう1個サービスしてくれたんですよ。あれは嬉しかったですね。

――では質問を作品に戻して……、小見川さんにとって『花咲くいろは』とはどんな作品でしょうか?

小見川:
新たな一歩ですね。民子を演じることは自分にとっても挑戦だったんです。これまでは、どちらかと言えば性格の明るい、オープンな子を演じることが多かったんですが、民子はその逆であまり自分を出さない子。お芝居としても今までにはなかった役柄であり、最初の頃は自分がどこまで演じられているか不安になる部分もありました。
でも話数が進むにつれ、周りの方からいろいろと反応をいただいて。それに加えて『花咲くいろは』は、私に様々なことを考えさせてくれたり、いろいろ教えてくれる作品でもあります。こういう作品に携われたことが自分の中でとても大きいですね。いつか緒花や民子、菜子たちが大輪の花を咲かせられますようにと思うと同時に、私も彼女たちのように花を咲かせられればいいなと思っています。

――それでは最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

小見川:
えっと……「ホビロン!」って言ったら怒られますね(笑)。

――面と向かってならば言ってもらいたい方もいると思います(笑)。

小見川:
『花咲くいろは』にはいろいろな立場、性格のキャラクターがいて、それぞれに物語があります。たぶん皆さんも作品のキャラクターの誰かに共感できる部分があると思うんです。私も民子を演じながら一緒に切磋琢磨して、仕事はもちろん日々頑張っていますので、見てくださっている方にとっても『花咲くいろは』が、明日へのステップになれればいいなと思っています。